厳しい実践訓練

一時は領土の半分を失ったエルト王国軍は領土だけでなく戦力の人的損失も多かった。
領土を取り戻した今、入隊希望者は増えているが戦場に出せるようになるには時間も
そして入隊してきた新兵を指導する指導者も不足してるのが軍の実態である。
兵士たちの野外訓練を視察していると、共に視察していたアルイエットが聞いてきた。

ア:お父様の部下だった方たちを呼び戻したのでしょ?

そう、『貴族の反乱』前に貴族たちによってアルバーエル将軍の部下だった将軍たちは
アルイエットの補佐役から外され、アルイエットが孤立する形となった。
その外された将軍たちの中で使える者たちを俺は呼び戻していた。
彼らは皆、指揮官として第一線に立てる実力の持ち主で当人たちもその気だった。
しかし、彼らを指揮官にしても従えて前線に送り出せる戦力が明らかに少なすぎるのだ。
だから俺は彼らを指導者として兵の基礎能力を上げるよう依頼した。
当初はそれを渋っていた彼らではあるが、兵の訓練が良く見える位置で実際に訓練を見せ
指導者不足かつ実践力・実践経験不足である一方で新兵クラスは飽和状態で統率も未熟
という現実を彼らに見せつけたのだ。
俺は
 「アルイエットと共に国を支える若い指揮官を作るのも将軍たちの仕事だろう」
と言って彼らに教育係を了承させるための決め手の言葉を言うと、一瞬沈黙したが
各将軍ともすぐに快く教育係の任を受けてくれた。
これで今後の新戦力の登場にほんの少しではあるが期待が持てるようになった。
生死をかけた戦いを知っているかどうかがイザという時の判断力などに必要なのだ。
そういう意味では指導力・実戦経験とも不足気味の今の指導者よりも歴戦の戦いを
戦い抜いて生き残った将軍たちの方が適任だし、言葉の一つ一つにも重みが出る。

こうして優れた指導者を手に入れた俺たちは、新兵の訓練を彼らに任せて出陣準備をした。
ムストから近辺に盗賊が出るので退治して欲しいという依頼があったのだ。
各小隊の中にそろそろ実戦経験を積ませてもいいクラスの兵士を数人ずつ配置することにし
俺たちは盗賊退治へと向かった。
新兵は組み込んだが、今回の軍編成には何ら変更はない。

『テンプルナイツ』
アルイエット隊
(歩兵)
ジン隊
(傭兵)
アロセール隊
(弓兵)
アニス隊
(魔法兵)
『第2軍団』→『マイヨ・ルカ』
ルカ隊
(騎兵)
トール隊
(剣士)
キューベル隊
(剣士)
只深隊
(輸送兵)
『ロスローリアン』
ロシェ隊
(騎兵)
ヴァイス隊
(傭兵)
シーザ隊
(傭兵)
サラ隊
(弓兵)

盗賊退治に関しての勝利条件、行動回数などは以下の通りだ。

先の戦いとは違い盗賊たちは周辺の村々を荒らしている。
彼らを早く殲滅し、住民たちを救わなければならない。

しかし、どうやら敵の動きを見ると軍人崩れのようだ。
多少厄介ではあるが、新兵にはいい実践になるかもしれないと俺は思った

ターン数部隊名行動地域収支備考
ターン1 テンプルナイツ移動ライーゼの街 vs荒れ狂う盗賊団
荒れ狂う盗賊団移動カレントの街  
荒れ狂う盗賊団補給ラクー平原  
ターン2 マイヨ・ルカ移動デロの村  
荒れ狂う盗賊団移動ジーの村  
荒れ狂う盗賊団移動ローマイル砦  
ターン3 マイヨ・ルカ移動カレントの街 vs荒れ狂う盗賊団×2
テンプルナイツ移動カレントの街 vs荒れ狂う盗賊団×2(撃破)
荒れ狂う盗賊団移動ミドルマイル砦  
荒れ狂う盗賊団移動ラクー平原  
ターン4 マイヨ・ルカ移動デロの村  
テンプルナイツ移動デロの村  
荒れ狂う盗賊団移動都市エルスセーナ  
荒れ狂う盗賊団移動ラクーの村  
ターン5 マイヨ・ルカ移動ミドルマイル砦  
テンプルナイツ移動セーナ平原  
荒れ狂う盗賊団移動タタスの村  
荒れ狂う盗賊団移動サンドラの村  
ターン6 マイヨ・ルカ移動ジーの村  
テンプルナイツ移動都市エルスセーナ  
荒れ狂う盗賊団移動ラクーの村  
ターン7 マイヨ・ルカ移動都市エルスセーナ  
荒れ狂う盗賊団移動ラクー平原  
ターン8 マイヨ・ルカ移動タタスの村 vs荒れ狂う盗賊団
テンプルナイツ移動タタスの村 vs荒れ狂う盗賊団(撃破)
荒れ狂う盗賊団移動ラクーの村  
ターン9 テンプルナイツ移動ミドルマイル砦  
荒れ狂う盗賊団移動ラクー平原  
ターン10 マイヨ・ルカ移動都市エルスセーナ  
テンプルナイツ移動ローマイル砦  
荒れ狂う盗賊団移動ラクーの村  
ターン11 マイヨ・ルカ移動ジーの村  
荒れ狂う盗賊団移動ラクー平原  
ターン12 マイヨ・ルカ移動ラクーの村  
ターン13 マイヨ・ルカ移動ラクー平原 vs荒れ狂う盗賊団
テンプルナイツ移動ラクー平原 vs荒れ狂う盗賊団(撃破)

敵さんが周辺の村や平原をちょこまかと動き回ってくれるので多少時間は掛かったが、
なんとかして全部隊を撃破できた。
こういう戦力が乏しい時は相手1軍隊に対して2軍隊を当てるなどして被害を抑えねばならない。
部隊同士のタイマン勝負に拘っている余裕などないのだから。

この戦闘を終え、アルイエット隊・ジン隊・アロセール隊・ルカ隊・トール隊・キューベル隊が
それぞれランクアップする事になった。
俺の隊(ジン隊)とキューベル隊は『弓矢』のスキルで間接攻撃を可能に、アルイエット隊は『兵士の憧れ』
のスキルでHPを増加を、ルカ隊は『亀甲の陣』のスキルを覚え、最初から覚えている『知者の陣』と
合わせて軍隊の攻守力を上げることに成功。トール隊は『治療』のスキルを覚えた。
これにより只深隊を外して攻撃部隊を組み込む事が可能になるなど軍編成にバリエーションが
出せるようになった。最も回復部隊として只深隊にはどんどん出撃してもらわねばならないが…
また、アロセール隊は特に覚えるべきスキルがないためスキルポイントを貯蓄することにした。

これで盗賊たちを片付けたので、あとはキューベルに警備部隊でも編成させて国内の治安の向上を
任せれば良いだろう。
そして本陣へと戻ると懐かしい顔がやってきた。
『王虎』時代の仲間である傭兵のラウだ。当然即戦力としてこき使ってやる。