日本のモータースポーツファン拡大へ向けてのコラム



2005.01.06
一昨年、ToyotaとHonda、そして高木虎之介が翌年からIRLに移籍するという事もあって
90年代前半辺り(正確な放送開始はいつ頃からか知らないけど…)から続いていた
BS1でのCART放送は終焉を迎えた。
替わってIRLが全戦放送されるのかという期待を抱いていたが、それは適わず。
IRLで最もビッグなレースであり、世界3大レースの1つに挙げられるINDY500の中継も
98年か99年頃(エディ・チーバーが勝った時)の中継を最後に放送されなくなりました。
しかもこの年はフルコースコーションが相次いで放送時間内に中継が終わらなかったと記憶しています。

現在では唯一国内で開催されているIRL日本ラウンド(もてぎ)が日本テレビ系列で放送されているだけです。
また、同じく世界3大レースの1つであるル・マン24時間耐久レースはスタートとフィニッシュの中継こそあるものの、
昨年から(日本時間の)昼間の中継が無くなりました。
そして、昨年をもってバイクの世界最高峰レースmotoGPの放送も終焉を迎えました。

これで現在、民放・NHK・BSという一般家庭で普通に全レースが見られるのはF1とフォーミュラニッポンの
僅か2カテゴリーだけとなりました。しかも、ともに夜遅い時間帯での放送です。
F1に関しては時差の関係上やむを得ない部分もありますが、フォーミュラの国内最高峰レースである
フォーミュラニッポンの放送は国内での開催にも関わらずレーススタートから12時間ほど経って
ようやく放送が始まるという状況です。
つまり、レース中継が見たければスカパーに加入して見るしかないのです。
それはレースが好きな人間にとってはまだいいです。
しかしながら、そんな状況でレースファンの新たな開拓が見込めると思いますか?
はっきり言って「NO!」と断言していいと思います。
だって、レースに興味を持っていない人を引き込む要素を次々とTV局が削っているのですから。

私はF1中継を見始めたのは91年のベルギーGPからです。ただ正確にはそれより先に日本GPを見ていました。
この年は中嶋さんがF1引退という事で毎週金曜深夜にF1中継の再放送がされていて、
それのベルギーGPから毎レース見るようになったのです。
クラスメイトに教えられるまでは知らなかったのですけどね。
で、初めて見たのは再放送ではない方の日本GP、つまり鈴鹿で開催された当日の放送だったわけです。
当時、日本はF1ブームの真っ只中にあり、日本GPの放送もゴールデンタイム枠での放送でした。
オーストラリアGPも夕方に放送されていました。
私はそれまでF1を見たことが無かったのですが、夕食後に何かやってる番組ないかなぁと
適当にチャンネルを回しているうちにF1中継を見ることが出来たのです。
そして引き込まれ、現在に至っています。

さて、話をファンの新規開拓に戻しますと、現状の放送環境で果たして
私のように偶然見て新規でレースファンになる人は居ますか?
殆ど無理でしょうね。みんなが寝るような時間になってからしか放送してないんですから。
その上、カテゴリーによっては放送しなくなっている。
フォーミュラニッポンも深夜しか放送しない上に、関西地区では鈴鹿とMINEしか放送しない。
そんな状況では興味を持たない人をサーキットに連れて行って、興味を持ってもらえたら万々歳
という状況でしか殆どファンを増やすのは無理です。
昨年の琢磨の活躍で多少はファン(含:にわかファン)は増えたかもしれませんけどね。

サーキットに足を運んでもらう為のファンサービスとかという話し合いをしているならば、
新たにファンを増やす為の手段をテレビ局などのメディアを含めて考え直してもらいたいものである。

道化な放送は要らないんだから……。

折角、F1、IRL、motoGP、WRCという最高峰クラスのカテゴリーが次々と日本で開催され、
日本人も活躍しているのだから、ファン拡大の為にはそういう部分も上手く活かしていかないといけないと思います。
FIAがF1の、JRPがフォーミュラニッポンの方向性を見誤ってきている気がしなくも無いですけれど、
日本のF1中継の番組編成はもっと方向を見誤っているというのは気のせいではないでしょう。
むしろ数年前から遭難してると思います。
既存のファンだけで今後も日本のモータースポーツが支え続けられるわけがないのだから
そこにいい加減に気が付いて欲しいものです。

もちろん、そのカテゴリーに参戦している日本のメーカー各社にも、モータースポーツ人口の底辺拡大だけでなく
モータースポーツファンの拡大にも目を向けて欲しいと思います。
F1というカテゴリーは知っているけど、その下にフォーミュラニッポン(海外だと国際F3000)やF3などがある
という事すら知らない人が多いのが現実ですからね。