海鳴り:(名詞)波のうねりが海岸を打つために起こる、遠雷(風の音)のような響き
[三省堂 国語辞典より抜粋]
とらいあんぐるハート アナザーストーリー
『海鳴果つる時』(前編)
海鳴市・・・この町がなぜこのような名前になったのか?
『市町村合併の際に、海に近い場所にあった「海鳴村」からとった』
『どこぞの有名な詩人が「海鳴」という詩をよんだのでそこから取った』
『当時の市長が「なんとなく」で命名した』
様々な憶測が飛ぶが、実際にその確かな理由を知るものはあまり居ない・・・
ただ、そこに住む人々に言わせれば理由など問題ではない
多くの人々は、この『海鳴』という名前をそれなりに気に入っているのだから・・・
「・・・」
ざわついた海鳴駅前、休日ということもあるせいかどことなく浮ついた雰囲気の人々が行きかう。
それに、何かのキャンペーンなのかポケットティッシュや色とりどりの風船を配る人。
どこにでもあるような、ちょっとした駅前の喧騒・・・
その中で、ほんの少しであるが注目を集める女性が居る。
いや、『女性』というよりまさに『女の子』と呼ぶほうが良い雰囲気が、男達に視線を向けさせる。
透き通るような銀色の髪をポニーテールで纏め、決して露出的ではないが活動的な服装は、『元気少女』
となんのひねりも無いタイトルのポスターにしても、誰も文句は言わないであろう。
「・・・」
ともかく、彼女・・・セルフィ・アルバレットは、自分がひそかな注目を集めている事に気づくこともなく
ベンチにこし掛け、手元のパンフレットなどに目を通している。
そのパンフレットは『海鳴インフォメーション』なるありきたりなタイトルの地方情報誌であった。そこの
特集記事『海鳴市の生い立ち』をぼんやりと眺めている・・・
「なーんか、適当にはぐらかされた様にも感じるんだけどなあ・・・」
特集記事は、結局『海鳴市命名の理由を特定できず』という結論に達したようだった・・・パタンとパンフレット
をベンチに放り出し、セルフィは空を仰ぐ。
セルフィにとっては、ここ海鳴市はひとつの故郷・・・
数年前のこの海鳴でのある出来事が、今の自分がある理由になっているのだから・・・
「それにしても・・・リスティ遅いなあ〜〜」
待ち人はまだ来ず・・・セルフィがぼんやりと、夏らしい入道雲を浮かべた空を見ていると、
「ああ〜〜!!アタシの風船!!」
セルフィの視界に、黄色の風船がふわふわと入ってくる。
「よっと!」
セルフィは何気なく、手を空に突き出すとスルスルと風船は上昇をやめてセルフィの手に入ってくる。
「あ?あの〜・・・」
と、セルフィの前に栗色の大きな目が目立つ女の子がオドオドとやってくる。どうやら、風船が降りてきた事と
外国人のセルフィに戸惑ってる様子
「ああ、風船?」
「あ!う、うん!!」
セルフィが日本語で返したので、安心したように顔をほころばす。
「はい。大事ならしっかりともってなよ」
「ありがとう♪銀色のお姉ちゃん♪」
「銀色のって・・・あはは♪」
満面の笑みを浮かべ去っていく少女に、セルフィはちょっと困ったように手を振って見送る・・・と、
数メートル離れたところで、少女はまた戻ってくる。
「あ、あれ??どうしたの?」
「・・・・・・おねーちゃんが居ない・・・」
「はあ??」
泣きそうな顔の少女に、セルフィは目を点にするしかなかった・・・
「要するに・・・迷子なのね・・・」
セルフィと手をつなぎ、今度はしっかりと風船を手に持った少女はミユと名乗った。
「で?ここにはお母さんとかと一緒に来たの?」
セルフィのとなりにチョコンと腰掛けたミユは首をぶんぶんと横に振る
「ううん。アタシはおねーちゃんと、もうすぐお兄ちゃんになるコージおにーちゃんと来たの」
「は???・・・えっと、つまりお姉ちゃんとお兄ちゃんの3人で来たのね」
ミユが一気にまくし立てた言葉を整理して、セルフィは推理する・・・
「えっとね、コージおにーちゃんはまだお兄ちゃんじゃないんだ。もうすぐお兄ちゃんになるの♪」
「??ま、まあともかく、しばらくココで待っててみようか」
そんなわけで、どことなくアンバランスな待ちぼうけ2人組が出来上がったのであった。
「ほんとにもー!!おねーちゃんったらきっと、コージおにーちゃんとのお話に夢中でアタシがいなくなったことに
気がつかないなんて!!」
先ほどの泣きそうな顔はどこへやら・・・プンスカと口を尖らせるミユ。気持ちの切り替えが速い女の子だ・・・
「ははは・・お姉さんとコージお兄さんって仲がいいんだ♪」
セルフィはクスリと微笑み、ミユの顔を覗き込む。
その視線をまっすぐに見返し、ミユは満面の笑みを浮かべる
「うん♪だーってね、もうすぐおねーちゃんとコージおにーちゃんはね、1つになるんだ♪」
『ブーッ!!』セルフィは思わずベンチから落ちそうになって目を白黒させる。
「な!?ちょ、ちょっとちょっとミユちゃん!!・・・1つになるって(赤面)」
ミユは顔に『?』を浮かべて、その純粋な目をセルフィに向ける。
「え?何か違うの??だって、おかーさんもおねーちゃんも『夫婦は“いっしんどーたい”だー!!』って行ってたし・・」
「あ・・・なーんだ・・・そういうことね・・・夫婦・・一心同体・・なるほど、結婚するんだ♪」
セルフィは“夫婦”という言葉から、やっと理解した。つまり、ミユのお姉さんはコージという男性ともうすぐ結婚する。
だから、コージは“もうすぐお兄ちゃんになるおにーちゃん”なのだ
「うん♪今日はね、おねーちゃん達とケッコンする場所を見に行ったんだ〜!!すっごくステキな所だったんだ〜!!
それにね、おねーちゃんの着るドレスもとってもキレイだし♪」
目をきらきらと輝かせながらセルフィに身振り手振り話すミユ。そんなミユの姿をセルフィは嬉しそうに聞き入る。
「フフ♪ミユちゃんはお姉さんが大好きなんだね♪」
「うん!!おねーちゃんもコージおにーちゃんも大好きだよ♪だから、2人が“しあわせ〜♪”になるのはすっごく嬉しいんだ♪」
ミユの言葉にセルフィは、心を温められるように感じた・・・
(フフフ・・・フィリス・・・私はこんな笑顔を守りたいんだ・・・)
セルフィは何気なく、双子の姉を思う・・・以前の互いに悩み苦しんだ最愛の人・・・同じ銀髪の女性を・・・
「・・・あれ〜〜?銀色のおねーちゃん?」
「え?な、なに??」
ふと、ミユがセルフィの顔を覗き込んでくる・・・
「銀色のおねーちゃんは、今“しあわせ〜♪”になってる?」
「え!?」
ちょっと疑うような視線のミユの質問に、セルフィは目を丸くする。
「ねえねえ?今“しあわせ〜♪”??」
「うん、私は今幸せだよ?たくさん友達もいるし、仕事とかも凄くやり甲斐があるし・・・」
セルフィは思ったことを口に出すが、ミユは不満そうだ。
「むう〜〜!!ちょっと違うんだよ“しあわせ〜♪”は!!」
「え?!」
ミユは『教えてあげます♪』とばかりに、ちょっと得意げに説明を始める。
「コホン・・・えっとね、『幸せ』って言うのはね〜頭で感じるもので、『しあわせ〜♪』はね〜心で感じるんだよ〜〜!!」
エヘヘと頭をかくミユ
「でね、“しあわせ〜♪”になると、胸のこの辺りからポワーって暖かくなるんだ♪そう!!心から“しあわせ〜〜♪”が
溢れて来るんだ〜〜♪」
うっとりした表情で、胸に手を当てるミユを見て、セルフィは少し考え込む・・・
「・・・心で・・・感じあふれてくる・・・」
「それに“しあわせ〜♪”の凄い所はね、他の人に“しあわせ〜〜♪”をあげられるんだよ!!」
ミユの言葉に、セルフィは驚く
「え!?あげれるって・・・?!」
「うん♪たとえばね、おかーさんが“しあわせ〜〜♪”になったらアタシもとっても“しあわせ〜〜♪”になるんだ♪銀色の
おねーさんは、おかーさんが“しあわせ〜〜♪”だと“しあわせ〜〜♪”を分けてもらわない??」
「うーん・・・??」
いつも忙しく飛び回る義母の事を考える・・・
「あとねえ・・・好きな人とかにも“しあわせ〜♪”は貰えるんだよ♪おねーちゃんと、コージおにーちゃんみたいに♪」
「えぇ!?す、好きな人・・・」
・・・
『これで、あなたは完全に私の娘ね♪』
数年前、初めてアルバレットの性をつけた自分に、そういって微笑んだ顔が浮かぶ・・・
・・
ふと前に日本に来たときに、会った人の顔が浮かぶ・・・どことなく不器用で・・・でも確かに優しく・・・強い人・・・
その人の微笑が浮かぶ・・・
・
「・・・♪」
「ほーら!!銀色のおねーちゃんも分けてもらったことあるんじゃない♪」
「え!?」
知らず知らずのうちに、セルフィは微笑んでいたようだ・・・全くミユは純粋で鋭い・・・
満面の笑みをたたえて嬉しそうに笑う、ミユを見ていると知らず知らずのセルフィは笑みがさらに湧き上がる
「そうか〜♪こういうのが、“しあわせ〜♪”なんだね!」
「そうだよ〜♪」
そんな風に、2人笑い会っていると・・・
「美由〜!!」
「あ!おねーちゃん♪」
人の流れの中から、ほっとした様な様子の女性が駆けて来る。ミユもそれに、手をぶんぶんとふって答える。どうやら、迷子の
おねーちゃんは見つかったようだ(笑)
「全くもう〜、おねーちゃん達!!迷子になっちゃだめじゃない!!」
「あはは・・・ゴメンゴメン」
少し大人ぶって、姉を説教するミユを見てると、笑みがまたこぼれてくる。
「それじゃあね〜♪銀色のおねーちゃん、風船ありがとー♪」
くるりとセルフィに向き直ると、ミユはまたぶんぶんと手を振る。
「それに答えるようにセルフィも小さく手を振ると、姉もセルフィに感謝の微笑を浮かべてペコリと頭を下げて、今度はしっかりと
ミユの手をつかんで人の流れに戻っていく・・・
すると、1人の若い男性が駆け寄ってくるのが見えた。どうやら彼が、コージおにーちゃんのようだ。
ミユはまた姉にしたのと同じように、なにやら説教をし・・・そして3人は、手をしっかりつないで人の流れに消えていった・・・
その姿を、じっとセルフィは見つめて・・・
「あ〜・・・なんかうらやましいな〜・・・」
「それは、あのお姉さんがか?」
「って!?うわぁ!!デタ!!」
いつの間にやらセルフィのすぐ横で、姉のリスティが棒アイス「ガリガリ君」をかじって座っていた。
「デタなんて失礼な!姉を幽霊みたいに!!」
ジト目でセルフィに抗議するリスティに、セルフィはハッとして詰め寄る。
「と言うか、いったいいつから来てたんだよ〜!!」
「えとね・・・セルフィが、誰か男の事を考えてニヤニヤしてるちょっと前から」
ボンッ「な!?なにそれ!!」セルフィの顔が一気に赤くなる
「いや〜セルフィも恋の季節が巡ってきたんだねえ〜♪」
ガリガリ君の最後の一口を口に放り込んで、リスティはクックックと笑う
「な!!もう!!盗み聞きしてたの〜!?酷いじゃないか〜!!」
激しく抗議するセルフィを受け流し、
「あれ?否定しないって事はホントに男の事考えてたのか〜♪」
ニヤリと詐欺師的な笑みを浮かべるリスティに、セルフィはしまった!と後悔するが・・・後の祭り
「ところで、リスティ・・・タバコじゃなくてガリガリ君だなんて禁煙でもしてるの?」
「話しずらしても無駄だぞ・・・まあ、なんだ・・・今のご時世、愛煙家もしっかりとした分煙意識が・・・」
「・・・素直に“暑い”からっていったら?」
「・・・」
「リスティ・・・なんでこの真夏に、長袖のジャケット着込んでるのかな〜・・・」
「うるさい!!」
・・・・
「しかし、アレだねえ・・・こんな時期に、長期休暇にだされるなんて」
リスティの運転する車に乗り込み、海鳴の道を走っていく・・・開け放たれた車の窓からは海風が吹き込み、すがすがしい
空気に満ちていた。
ちなみに早速リスティはタバコに乗り換えていたが・・・
「まあ、いままでかなり気合を入れて活動してたからね。たまには羽を伸ばせって事で・・・」
「そうだな〜。出動のたびにヒヤヒヤさせられるアルバトロス1がいると、クレアの心労も並じゃないだろうしな。まあ、
ちょうどいい休暇だな」
そういってニヤニヤとセルフィをみるリスティ
「この前は退避命令無視に1個中隊ぶんの備品の破壊だったけ?」
「むう・・・あ、あの時はまだ奥に要救助者がいると思ったんだよ・・・」
頬を膨らませて、そっぽを向くセルフィ
「結果、そこは元々無人でその調査に、クレアを初めとした多くの仲間をヒヤヒヤさせた上、向こう見ずな誰かさんを支援
するために大量の備品をレスキューは失った・・・そりゃあ、“長期休暇”くれるわな♪」
イジワルに、調査済みな事をズラズラと並べるリスティに、セルフィは
「はいはい!!白状しますよ!!これは休暇じゃありませんよ!!しばらくの間、停職処分なんですよ!!」
いじけてそう白状する・・・
「正直でよろしい♪」
ダーっと凹むセルフィを横目に、満足げにリスティはニンマリ。
ふうっと、リスティが吐き出した紫煙が窓から海辺の風に乗って飛んでいく・・・と
・・・ゴゴゴン
「・・・あれ?雷?」
ふと風の音に混じって、遠くで雷が鳴るような音がかすかに響く・・・
「こんなに天気が良いのに?」
セルフィが首をひねる
「ああ・・・『海鳴り』じゃないか?」
ふと、タバコをくゆらしながらリスティが言う。
「海鳴って・・・そりゃここは海鳴市だけど・・・」
セルフィがハテナマークを頭に浮かべているのを、セルフィが説明する
「波の音かに混じって、なにか遠くで雷鳴みたいなおとがするだろ?それが『海鳴り』さ」
「ふうん・・・ねえ?もしかして、“海鳴市”の名前の由来ってソレなの!?」
セルフィは先ほどの情報誌のスッキリしなかった事を聞いてみる。
「さあねえ・・・市町村の名前なんて、結構市議会とかの勢力争いの結果から生まれるからねえ・・・」
リスティは興味無しといわんばかりに、2本目のタバコに手をかける・・・
「もう!!リスティって“Enjoyableness”が無いんだから!!」
セルフィは、パッとリスティの手からタバコを奪い取る。
「あっ!コラ、セルフィ!!」
「はい!運転手は運転がお仕事です!!」
奪い返そうとするリスティにぴしゃりというと、セルフィはそっぽを向く。
「コノ・・・まったく、妙に良い英語使いやがって!!」
ムスッとして、ハンドルを握るリスティはボソリと「・・・ヒイヒイ言わせてやる」
というと、車のシフトを操作しゴンッとアクセルを踏み込む。
コァァァァァァバシュゥ!!
突然おかしなサウンドを立てて車が加速する
「はぇ!?リ、リスティ!?」
「黙ってないと舌噛むよ」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
・・・ゴゴゴォォン
・・ゴゴン
・ゴ・・・
・・・・・・
リスティのマンション前・・・
「はあぁぁぁ・・・」
「お〜い?ど〜した?」
ニヤニヤとしているリスティと、ぐったりと車にもたれかかるセルフィ・・・
「ねえ、リスティ?“しあわせ〜♪”ってしってる?」
「??・・はあ?」
セルフィは、うつろな目のまま荷物を片手にリスティにため息とともに言葉を吐き出す
「私はいま最高に“しあわせ〜♪”じゃないよ・・・」
「・・・そりゃどうも♪」
リスティはニヤリと笑うと、セルフィを引き連れて部屋へ向かう
と、リスティはセルフィの肩にポンと手を置く
「じゃあ、さっさと荷物を置いて、着替えて、最高に“しあわせ〜♪”になりにいこう」
「はいはい・・・」
リスティの笑顔にセルフィはちょっと疲れた笑みを浮かべて答える事しかできなかった
同時刻、海鳴ベイサイドホテル・・・地下1階配管室
「おーい・・・ソッチはどうだ〜??」
作業服を着た男は、装置のメーターを見ながら仲間に声をかける。
「ああ〜・・・だいたいOKだぞ〜」
同じような作業服を着た男は、ゴソゴソと狭い通路から汚れた顔を出す。
「そうか?どーも、こっちのガスの圧力計が安定しないんだが・・・」
「なに?・・・D-4からD-7までのパイプの交換もしたし、最下層まで点検したのに・・・」
2人は頭をひねる。
「はあ・・・まったくこのオンボロホテルが・・・」
「まあまあ、ぼやいたってしょうがないぜ」
ごちゃごちゃとしたパイプの塊を眺めながら、2人はため息をついた・・・
「しょうがないな・・・第3から第5までのガスを止めて、予備の配管施設を使おう」
「それだと上のほうのガス供給が足りなくならないか?」
「まあ多少の事は目をつぶってもらおう。ガス漏れでガス爆発なんて洒落にならん」
大げさに天(といってもコンクリートの天井と裸電球しか見えないが)を仰ぐ男に、仲間もうなずく。
「さて・・・とっととバルブを閉めるか・・・」
装置のスイッチを切り替えると、いくつかのメーターが動き回り、一定のポイントで安定する。
「よし。バルブの閉鎖を確認・・・予備管流動開始」
ふうっと、2人は緊張を解く
「よし!!これで今日の仕事終了!!」
「お〜し!!・・・まったく休日出勤も楽じゃないな・・・」
「はは♪まあまあ・・・上のビアガーデンで一杯やって帰ろうぜ」
「そういや、明日はSEENAが臨海公園でコンサートやるんだってな」
「ああ〜そうみたいだな・・・でも、あれってすさまじいプラチナチケットだろ?俺達みたいに歌にそんなに熱意の無い人間
にはチケット取れないなあ・・・」
「まったくだ・・・ああ〜一度生で聴いてみたいぜ・・・」
「まあ、とりあえず歌より冷えたビールだ」
2人は工具を片付けながら、冷えたビールに思いをはせていた・・・
そんな2人は、ほんの僅かに計測器のメーターが震えている事に気がつくことは無かった・・・
同時刻・・・海鳴、海岸付近・・・
「・・・なんてこった・・・」
釣りをしていた老人が驚愕したように海を見つめる
「どうした?おっさん?」
気になった釣り仲間の男が声をかけるが、老人はじっと海を見つめたまま不安そうにつぶやく・・・
「海鳴りが・・・海鳴りがやんどる・・・」
「はあ?・・・まあ確かに、聞こえないなあ・・・」
男も耳を澄ますが、確かに海鳴りは止んでいた。
「けどよ、いつも海鳴りがしてるわけじゃねえだろ?いつもの事だろ・・・こんなの」
「違う・・・完全に止んでやがる・・・こんな事、10数年ぶりだが・・・こりゃ不吉だな・・・」
老人の視線の先の海は・・・ただ不気味なほど静まり返っているだけだった・・・
海鳴り果つる時・・・
清く悲しい思い・・・
再び蘇り・・・
世の幸を渇望せり・・・
その思いは・・・
美しくも悪にもなる・・・
海鳴り果つる時(前編)完
A tale follows next time・・・・
<あとがき・・・のようなモノ>
さて、お久しぶりです!!Vガンマ〜ですww
ここしばらくのブランクを抜け、いよいよ活動再開です!!ま、まああまり良いペースではないような気もしますが(汗
「まったくだ・・・」
うるさいぞ!!外野!!て言うか、恭也てめえまだ登場してねえだろ!!
「ふむ・・・そう言えばそうだな」
あとがきスペースは基本的に、その話しに登場した女の子だけが出れるんだ!!野郎はすっこんでろ!!
「いつそんな事決めた・・・」
・・・今
「・・・(ちゃきん)」
無言で小太刀を抜くんじゃない・・・
「そもそも、前後編にわけたから、俺が出ないんじゃないか?」
まあね♪
「短編のつもりが前後編に分かれるのは、いつもの事だがな・・・」
やかあしゃあ!!
「まあその分良い作品になるんだろ?」
努力いたします・・・
「おい・・・」
まあ、今回は実はこのSSを書くに当たってメインとなる書きたかったシーン、入れられなかったのでその分後編でばっちり
自己満足に書きたかったシーンを入れますww
「ほう・・・なるほど、やっとアルバレットさんが大活躍するんだな?」
うむ・・・ふふふ♪
「なんだ?キモイな・・・」
キモイ言うな!!・・・まあともかく、今の一言にも多少後編への前フリがあるんだなあ〜♪
「どこだ??」
そこだ♪(指差す)・・・フフフフ・・・という訳で、次回もよろしくです〜!!
「どこだあぁぁぁ!?!?!?!」