初めて会ったその時

「煩わしい」

そう思った



でも いつの間にかあんたの存在は

あたしの心の中でどんどん どんどん大きくなって……

「……側に居ても良いかもな」

そう思えた



だけど……



だけどあんたは

あたしとは別の存在で

言いたいことは沢山あるのに伝えられなくて

伝えたい想いも ほんのわずかしか伝えられなくて

それであんたが教えようとしてくれる想いを

あたしは少しも受け止められなくて……



そんな自分の不器用さを呪いたくなった……






















Nameless Memories Secret Episode
秘めた想い






















「びえぇぇぇーーーーーーーー!!」

「な、泣くなよ! オムツ……はさっき変えたろ?
 メシ……にはまだ早いじゃねぇか!?
 なんで泣くんだよ!? 何が言いたいんだよ、花音!?」

「真雪、花音はまだ赤ちゃんなんだから喋れるわけないだろ?」

「ぼうず、なんでこいつ泣いてんだ!?」

「眠いから」

「はぁ!? なんでそんなことで泣くんだよ!?」

「ボクだって知らないよ。愛から聞いたけど、そういうものらしいよ」

「びえぇぇぇーーーーーーーー!!」

「わかった。わかったからもう泣くなよ、花音」

「がんばってね、真雪」

………………………

「………やっと眠ったか。
 ったく、これだから赤ん坊ってのは苦手なんだ」




















けど……

あんたが居るから心休まる時がある

感謝してるよ 花音……





















「お姉ちゃ〜ん、原稿はもう出来てるの〜?
 明日、締め切りだよね〜?」

「………やべぇッ! 明日だったか!?」

「!! びえぇぇぇーーーーーーーー!!」

「だぁーー! しまった、起こしちまった!!」




















やっぱり赤ん坊は苦手だ

早く大きくなれ

早く大きくなって あたしと話をしよう

笑って 怒鳴って ケンカして 仲直りして……

一緒に笑いあえるように……

な、花音……









Fin



真雪に真面目に語ってもらおうシリーズ (一応)その2!
最初の語りで耕介とのことだと誤解させることができていれば俺の勝ち。(笑)
それだけのために作った1本。馬鹿だ、俺。(爆)